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タイトー公式のスペースインベーダー資料

Google Arts & Culture というページに、日本のタイトーがスペースインベーダーについてのオンライン展示を行っているという情報を教えて頂きました。Google Arts & Cultureでは、世界中の博物館や美術館なども参加して貴重な資料をオンラインで公開しているのですが、その1つとして日本のタイトーによるスペースインベーダー展示があるというのです。


( https://artsandculture.google.com/partner/taito-corporation?hl=ja より )

「レトロゲームアラカルト」「インベーダーハウス2018」「GAME ON」などスペースインベーダーを追い続けてきた自分としても驚きの企画だったのでここで紹介してみたいと思います。
このオンライン展示は、スペースインベーダーの誕生からブームになった経緯、さらに当時の写真から開発資料までかなり詳細に揃っています。特に初期のアップライト筐体を掲載したチラシや、インベーダーハウス、さらに出荷前の工場での検品の様子など今まで見たことのない写真も含まれています。


( Google Arts & Culture より )

さらに、開発者である西角友宏氏によって書かれたフローチャートやプログラムリストの一部も掲載されています。これらは、そのまま博物館に展示してもいい大変貴重な資料だと思います。


( Google Arts & Culture より )

タイトーがこうした形で歴史と文化を保存する活動を行っているのは、とても意義のあることで、ぜひ多くの人に知ってもらいたい内容だと思います。多くのアート作品とともにスペースインベーダーが並んでいることは、ビデオゲームとしての価値を高めることにもなるはずです。
さて、この資料をさらにマニアックに見ていくと、展示ページからは直接リンクされていない画像がまだ色々あることがわかります。ゲーム基板の写真も貴重なのですが、この中にはなんと回路図も含まれています。


( Google Arts & Culture より )

ここで公開されている回路図は、初代アップライト筐体で使用されていたもので、サウンド基板CPU基板の2枚で構成されています。海外製品のマニュアルで回路図が公開されたことはありますが、日本のタイトーが公式でスペースインベーダーの回路図を一般に公開するのは、これが初めてではないかと思います。
かつてインベーダーブームに日本が湧いていた時代には、あまりの人気にタイトーでの生産が追い付かず、ライセンスを供与した他社の生産品とともに非許諾のコピー品が大量に出回るなど、大きな話題となっていました。
その時代には開発資料はおろか、開発者の名前すらも表に出ないよう秘匿されていたものが、こうして手軽に閲覧できるようになったことは本当に隔世の感があります。


( Google Arts & Culture より )

スペースインベーダーは全世界でヒットしたため、非常にたくさんの基板とバリエーションがあります。
1枚目の回路図は、音を出すためのサウンド基板で1978年6月26日に書かれていることがわかります。スペースインベーダーのサウンドは7種類の効果音が、それぞれ独立したアナログ回路で作られています。特にUFOの飛行音などは、当時まだ最新のチップだったSN76477を贅沢に使用した特徴的な音になっており、開発者の工夫とこだわりが感じられます。


( Google Arts & Culture より )

2枚目の回路図は、CPUとRAM、プログラムが入ったROMなどが含まれている基板です。アップライト筐体では、この基板に先ほどのサウンド基板を90度に立てて接続したものを使用しています。これが「L」の字型になるので通称Lボードとも呼ばれています。Lボードは、大きすぎてテーブル筐体に入りきらないため、アップライト筐体専用になっています。(テーブル筐体用は3枚の基板で構成されていますが、基本的な回路は同じものです)


( 2枚の基板が組み合わされたLボード )

CPU基板の回路図が書かれた日付は、1980年7月16日になっておりスペースインベーダー発売からはだいぶ後になっています。これはおそらく後期の基板で、ここで使用されるROMは16Kbit容量のもの(2716)が想定されていますが、初期の基板では8Kbit容量(2708)が6個使用されています。


( 2708 ROMが使用されている基板 )

1980年の時点で、16KbitのROMがコスト的に安くなったことで、後の基板ではそちらを使用しているものと思われます。時期によっては、再利用可能なUVEPROMではなく大量生産が可能なマスクROMが使用されている場合もあります。


( マスクROMが使用されている基板 )

スペースインベーダーのアップライト筐体とLボードは、その後もコンバージョン(改造)という形でルナレスキューやバルーンボンバーとして使用されていました。サウンド基板も、一部を改造されながら様々なタイトルで使用されています。


( ルナレスキューに改造されている基板 )

当時の資料は、興味のない人にとってはまったく意味のわからないものですが、内容を細かく調べている研究者や愛好家にとっては、大きな発見につながることもあります。世界には、今なお基板を修理して実機のゲームを動かしている人が大勢います。
これらの基板は、後のCPUを使ったビデオゲームの基礎を築いたというだけでなく、日本から海外に輸出され国内のゲーム産業と半導体製造が躍進する1つのきっかけになったことを、ぜひ知っておいてもらえたらと思います。

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ゲームレジェンドにフィールドゴール筐体持ち込み

レトロゲーム系イベント「ゲームレジェンド34」でアーケード筐体の展示を行ないました。
(過去の参加報告は、こちら。)

今回も恒例のアーケード筐体展示として、「フィールドゴール(Field Goal)」(タイトー 1979)を設置しました。
前回の展示が、2019年11月なので実に3年ぶりになります。こうしたイベントがまた行われることを願っています。

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インベーダーハウス2018トークショーの動画を公開しました

2018年8月18日に開催されたイベント、「インベーダーハウス2018」で行われた2回のトークショーのビデオをYouTubeにて公開しました。
1つは、「スペースインベーダーを振り返る」トークショーです。1978年に発表され大ブームとなったビデオゲーム「スペースインベーダー」について、その開発者である西角友宏氏、サウンド開発者の亀井道行氏にお話を伺っています。

「スペースインベーダーを振り返る」トークショー全編

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「インベーダーハウス2018」を開催しました

2018年8月18日に、スペースインベーダーのファンイベント「インベーダーハウス2018」を開催しました。OBSLive/基板大好き主催で1日だけ東京・秋葉原で「インベーダーハウス」を復活させるという趣旨のイベントです。

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ナイト「GAME ON」特別イベントでスペースインベーダーの話をしました

ゲームをテーマにした巡回展“GAME ON ~ゲームってなんでおもしろい?~”のトークイベント「スペースインベーダーはいかにして生まれたか」にモデレーターとして登壇させて頂きました。
このイベントは、スペースインベーダーをほぼ一人で作り上げた西角友宏氏、シューティングゲームのプレイで一世を風靡した高橋名人という豪華な出演者とともに行なわれました。
ゲームが展示されている会場内に多くの観客が集まり、笑いあり実演ありの内容で大いに盛り上がりました。当日の模様は、ファミ通.comさんでも紹介されています。

伝説のクリエイターが語るゲーム開発の真髄とは?
“ナイト「GAME ON」第一夜「スペースインベーダーはいかにして生まれたか」” リポート – ファミ通.com
http://www.famitsu.com/news/201605/17105900.html

「GAME ON」の会場でも大きく展示されていたスペースインベーダーですが、すでに40年近く前のゲームになっていて、当時の詳しい状況や経緯などを知る機会も少なくなっていると思います。そんな中、イベントや雑誌記事などても、事あるごとにスペースインベーダーとその時代に登場したゲームについて語ってきている私なのですが、こんな豪華な機会に恵まれたことは本当に光栄で嬉しいことです。
今回、スペースインベーダーについての「スゴイところ」と、それを作った西角氏がそれ以前に手がけた作品も含めて、ゲーム史に影響を与えた「スゴイところ」がいっぱいあるという話をさせて頂きました。
スペースインベーダーは、シューティングゲームの古典的名作として今でも多くの人に知られていると思いますが、現在では当たり前になりすぎた要素が多すぎて、何が画期的だったのか知る機会も少なくなっています。

特に、スペースインベーダー以前のシューティングゲームは、エレメカゲーム(ガンゲームや射的など)を手本にしており、「時間内に上手く標的を狙って点数を上げる」ことが当たり前でした。その常識を打ち破り、集団で襲いかかる敵を手軽に倒せる爽快感と、上達することによって長く遊べる深い戦略性を持っているということを、最初に取り上げました。
多くのメーカーが、それまでの定番となるジャンルのゲームを作っている中で、CPUの技術を活かした新しい発想のゲームを生み出し、世界中で大ヒットとなったことは大きな偉業と言えるでしょう。

イベントでは、スペースインベーダー以前にも多くのゲームを手がけ、日本の開発技術を牽引した西角氏の作品をいくつか紹介しました。ビデオゲーム以前のエレメカゲーム「スカイファイター」を始めとして、国内ではまだ技術が確立されていなかったビデオゲームの仕組みを独力で習得し、職人的な活躍で黎明期の傑作を数多く生み出しています。

その中でも、ビデオゲーム初期に人やゴールなどの形をいち早く表現した1974年の「バスケットボール」というゲームの実機を会場に持ち込んで紹介しました。今となっては、テレビ画面に自由な絵が出せるのは当たり前ですが、1974年当時は「ポン(PONG)」のボールやラケットのように単純な四角形で物体を表現していました。まだコンピューター(CPU)も一般的ではなく、TTLと呼ばれる集積回路を組み合わせてゲームの回路を作っていた時代です。

この回路を作ったのも、もちろん西角友宏氏です。西角氏と高橋名人の2人で対戦して頂くという、とても貴重な一幕もありました。

「バスケットボール」は、日本から海外にライセンスされた初のゲームとなりました。人の形を出したゲームとしては、世界初かもしれません。細かいところですが、ボールがちゃんと丸い形をしている点も、当時としては画期的なことだと思います。

西角氏は、この後も「スピードレース」「インターセプター」「ウエスタンガン」などの名作を手がけ、そのいずれも過去の常識やジャンルに縛られない自由な発想で作られています。
西角氏ご本人から、当時のエピソードや時代背景などをお聞きし、前例に縛られない発想や取り組みの結果、スペースインベーダーのような作品が生まれたのだと改めて感じることができました。
「GAME ON」は多くの来場者が訪れ、好評のうちに終了となりましたが、こうした歴史の経緯に触れるイベントが同時にできたことは、とても意義深いことだと思います。会場にお越し頂いた皆さん、本当にありがとうございました。また機会があれば、こうした講演や展示ができることを願っています。

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