HSP : HSP3Dish / onion software 2011(c)
HSP3Dishは、HSP3の動作環境を様々なデバイス上で構築するための 追加セットです。Windows上で開発したスクリプトを、別なOS上で 動作させるための仕組みを提供します。
Windows上で動作するHSP3Dishランタイムは、通常版のHSP3と比べて機能が制限され、 いくつかの特殊な機能が付加されています。 このHSP3Dishランタイムと同等の機能を、iPhone/iPad、またはandroidといった 異なるシステム上でも実装することで、Windows版で動作するスクリプトを再利用できる 仕組みになっています。
特殊な利用を想定したHSP3DishですがWindows上で使用する上では、 DirectXを使用した高速描画や、アルファチャンネルやPNG形式の標準サポートなど、 通常のHSP3にはないメリットも持ちあわせています。 HSP3Dishは、現在まだ制約や未実装の機能がありますが、 新しいHSP3の流れとして今後も進化を続ける予定です。どうぞご期待ください。
HSP3Dishでは、Windows上で動作するHSP3のスクリプトエディタなど通常のHSP環境をそのまま 使用して開発を行ないます。 必ずHSP3.3以降のHSPで作成を行なってください。 HSP3Dish環境で動作するスクリプトを作成する場合は、 最初の行に、以下のコードを追加する必要があります。
#include "hsp3dish.as"
以降は、通常のHSP3スクリプトと同様にソースを記述することができます。 ただし、HSP3Dish環境に適用させるために、いくつかの制約があります。 大きな制約は以下の通りです。
また、スマートフォンのメモリやセキュリティの制約を反映して 以下の機能は限定的になっています。
HSP3Dishでは、多くの命令や関数などを通常のHSP3と同様に使用できますが、 環境の違いを吸収するために、機能が制限されており、Windows版に慣れた 人には面倒な部分もあるかもしれません。今後のバージョンでは、 Windows版との違いを意識することなく、幅広い環境に適用させることを 目標としています。
いくつかの制約は、ネイティブコードを生成するために HSP3ソースコンバーターを通す上で発生しています。 より詳しく知りたい方は、HSP3ソースコンバーターマニュアル(hsp3cnv.txt) を参照してください。
提供されているHSP3Dishは、OpenGLやDirectXによる高速描画を前提として 作成されています。通常のHSP3とは、以下の点で異なっています。
画面の書き換えに関するソースは、redraw 0で描画開始を知らせて、 redraw 1により描画終了タイミングを知らせるようにしてください。 これにより、効率よく各種描画の命令が実行されます。 通常のHSP3とは違い、「redraw 0」を指定することにより、スクリーンが 一旦クリアされます。
picload、celload命令によりアルファチャンネルを含む画像ファイルを 読み込むことが可能です。(推奨する画像形式は、PNGファイルです) celput、gcopy等の命令では、アルファチャンネルを含めたコピーが 実行されます。そのため、gmodeによる指定は、いくつか違いが出ます。
gmode 0 : アルファチャンネルなし(無視) gmode 1,2 : アルファチャンネル有効、半透明レート無効 gmode 3,4 : アルファチャンネル有効、半透明レート有効 gmode 5 : 色加算・アルファチャンネル有効、半透明レート有効 gmode 6 : 色減算・アルファチャンネル有効、半透明レート有効
通常のHSP3では、描画のアクセラレーションは限定的でしたが、 HSP3Dish(GL版)では、グラフィックカードの機能を利用して 高速な描画、及び高品質な回転・拡大・縮小を行ないます。 半透明やアルファチャンネルなどの使用で、違いが顕著に現われます。
通常のHSPよりも高精度なタイマーによりウェイトの管理が行なわれます。 wait/await命令での待ち時間が、通常のHSPと微妙に異なることがあります。
mmload/mmplay命令によるavi/mpg/wmv形式の再生はサポートされません。 Windows版では、効果音にwav、BGM(サウンド)にmidまたはmp3を使用することが可能ですが、 プラットフォームごとにサポートする形式が変更される可能性があります。
HSPフルセットの サンプルディレクトリhsp3dishにサンプルスクリプトが収録されています。 HSP3Dishを使用した例として、参考にしてみてください。
各命令・関数の互換性については、別途ファイル「support_cmds.txt」を参照してください。 一部の命令は、未実装ですが今後拡充していく予定です。
HSP3Dishのランタイムファイル(hsp3dish.hrt)を使用して、 Windows上で実行可能なプログラムを作成することが可能です。 通常のHSP3にはないメリットもあるため、Windowsに対応したソフトの 作成用途としてもお使い頂けます。
通常の起動時は、画面のサイズは320x480に固定されています。 これは、iPhone(3G)に合わせたサイズですが、起動設定ファイルを 用意することにより、画面サイズを変更することができます。 (HSP3Dishは、画面サイズは一定でありscreen,width命令で変更できません)
起動設定ファイルは、「hsp3dish.ini」というファイル名でスクリプトと 同じフォルダに置かれている場合に反映されます。 以下は、設定ファイルの記述例です。
; hsp3dish settings wx=320 wy=480
行の先頭から「wx=横サイズ」「wy=縦サイズ」を書くことで反映されます。 「;」で開始される行はコメントとみなされます。 異なるデバイスでの動作を想定する場合などに、起動設定ファイルを 用意して実行を行なってください。
HSP3Dishを使用して、Windows用の実行ファイルを作成することが可能ですが、 作成された実行ファイルには起動設定ファイルは適用されません。 HSP3Dishランタイムで、Windows用の実行ファイルを作成する場合は、 画面サイズを#packopt命令で設定するようにしてください。
#packopt name "ファイル名" #packopt xsize 320 ; 横サイズ #packopt ysize 480 ; 縦サイズ
HSP3Dishでは、他のプラットフォームへの変換をサポートしています。 動作の仕組みは以下になります。
詳しくは、それぞれのプラットフォームごとに用意されるマニュアルを参照してください。
スマートフォンの持つ独自の情報や、デバイスからの入力取得については今後拡充される予定です。 マルチタッチは、Windows7で同様の入力をシミュレートできますが、加速度センサーその他のデバイスについては Windows上で擬似的にテストできるシステムの作成を検討しています。
ユーザーが、HSP3Dishを使って作成したオリジナルのソフトウェア(実行ファイル)の権利は、それを作成したユーザーに属します。
商用、非商用を問わず、どのような形態での使用も可能です。また、ライセンス料は必要ありません。
ユーザーが作成したソフトウェアには、onion softwareの著作権表示も、HSPを使っている旨を表示する義務もありません。 オリジナルのソフトウェアに対してonion softwareが著作権を主張することはありません。 HSPを使用して作られた2次的な開発システム(ゲーム作成システム等)に関しては、そのシステムを作った作者の責任において運用して下さい。
HSP3Dishは、インタプリタ言語Hot Soup Processor(HSP)の一部であり、著作権はonion softwareにあります。 onion softwareは本プログラムによって生じた、いかなる損害についても保証いたしません。 自己の責任の範囲で使用してください。
HSP3Dishは、OpenHSP技術からの派生により作成されています。 HSP3Dish及びOpenHSPに含まれるファイルは、BSDライセンスのもと自由に添付・複製・改編・再配布することが できます。その際にはライセンス表記(License_j.txt)を明示するようにしてください。
製作したソフトウェアを商用として運用することを検討されている方で、有償によるサポートをご希望の方は メールにてinfo@hsp.tvまでご連絡下さい。詳細をご案内させていただきます。
HSP3Dishに関するお問い合わせ、ご意見などはメールにてお知らせください。
onion software (onitama@onionsoft.net) http://www.onionsoft.net/